ワンダー読書館眉村卓ワンダー・ティー・ルーム店長読書記録
(基本的にネタバレなし・リンクはご自由に)

| 新着記事 | 作家別リスト | 月別アーカイブ | メインサイト | 自己紹介&連絡先 |
しばしのお休み
◆毎年、前年に読んだ本のベスト本を1月に発表してきました。が、去年は更新ペースががた落ちだったので、書いたエントリ全てがお気に入り本だと思ってください。間をおいてしまうと、ブログってものはかなりモチベーションが高まらないと書けません。沈黙を破るほどおもしろかった本ということで。

はてなの非公開ダイアリーでつけていた記録によると、2007年の読了本は110冊。まあまあか。非公開で書いている理由は、ネタバレに配慮しなくていい記録が書きたかったのと、文章を練る時間がもったいないから。(一応ここでは文章を練っているつもり……)

最近ネットですごす時間がもったいなく感じるようになりました。まだまだ読みたい本や、手を動かしてリアルでやりたいことがあるなと。でも、やっぱり何かつぶやきたいときもある。というわけで中途半端なコメントを時々twitterに書いていたりしますので、興味のある方はのぞいてみてください。→http://twitter.com/kichine


「司政官全短編」も創元SF文庫から発売されたこともあり、司政官シリーズのことが書きたくて始めたメインサイトも役割が終了したのかなとも思います。レンタルサーバの契約更新もやめようかと思ったのですが、自分がちょっとしたことを調べるのに便利なので、データベースとしてとっておきます。ドメインもせっかくとったことだし。

それではしばし休眠……。
作家別リスト>>| 雑(このサイトについて) | - | - |
この記事へのリンク>> http://bookmark.wonder-tea.com/?eid=702307
ありふれた死因/芦川澄子(東京創元社)
◆昭和34年から39年までの間、関西で活動した女性作家のミステリ作品を集大成。


  • 「表題作」……ありふれた死因というか、動機ですな。でもそれをはっきり描かないで終わるところが粋。

  • 「廃墟の死体」(問題編・解決編)……クイズとして朗読されたもの。支部を持つ探偵事務所にかかってきた電話から始まる探偵小説……と思いきや、問題編でいきなりどんでん返しが舞台にあろうとは驚きだ。いや、謎解きゲームに持って行くための設定なんだけど、ここまでやるとは。ある意味イマドキ風。

  • 「愛と死を見つめて」……「第2回宝石・週刊朝日共催コンテスト」入選作。
    女友達の恋人と同じ東京本社に転勤することになった私。ところが大阪で待つ彼女が自殺したと知らされて……
    男性は最後を読み違えている人が多いらしいのもわかるような。帯にある乱歩の推薦文、2段オチの2段目を読んでないのでは? 作者によるネタバレ解説も載ってます。

どれも文章がよくて、昔の推理小説にありがちな「トリックはすごいが読みづらい」というところがない。女性の心理の微妙なところをついていながらくどくどと書かないのも洒落てます。これ傑作選じゃなくて全集だというのが信じられない。すごく自分好みの短編ばかりでした。


創元のメルマガを購読しているのですが、10月に来たサイン本のお知らせにこの芦川澄子の作品集がありました。
……芦川澄子って、誰?
◆『ありふれた死因』・内容紹介◆
ねえやの日記を盗み読む愉しみを覚えてしまった少女が目にしたのは……
(「マリ子の秘密」)。その他、宝石・週刊朝日共催コンテスト入選作等、
芦川澄子の推理小説全編を収録。

ってか、「宝石」に絡んでいた人で今もサインもらえるの? 好みの作風の予感。
と検索してみたら、不勉強で知らなかったのですが、鮎川哲也の元妻であった人のようです。そして収録作の一つに「道づれ」という作品があって……

あああ!これすごく好きな短編だよ!ずっと読み返したかったのに生島治郎の「香肉」と勘違いしてて「あれー缶詰の話が出てこない?」と思ってたアレだ! とわくわくして発売を待っていた本でした。(サイン本だと届くのが遅くなりそうだったので頼みませんでした)

小説の他エッセイや天城一の序文もあり、戸川安宣氏の解題もありと豪華。初めは同人誌として発行される予定だったとのことですが、私にも手に入ったんだから創元から刊行されてよかった。本当に感謝。
作家別リスト>>| 国内あ行あ・い | - | - |
この記事へのリンク>> http://bookmark.wonder-tea.com/?eid=678423
ジョン・ディクスン・カーを読んだ男/ウィリアム・ブリテン(論創社)
ミステリ作家にかぶれた人がでてくる短編を一度にまとめた作品集がついに出ました!
表題作がバカミスとして有名なのでそのつもりで読んだら……なかなかどうして。小粋ないい話が多くてうれしい驚きでした。

◆カーの密室物を読んだ男は金持ちの叔父を殺そうと考えた。彼の究極のトリックとは……ほか「エラリイ・クイーンを読んだ男」「レックス・スタウトを読んだ女」「コナン・ドイルを読んだ男」「G・K・チェスタートンを読んだ男」「アガサ・クリスティーを読んだ少年」「ダシール・ハメットを読んだ男」「ジョルジュ・シムノンを読んだ男」「ジョン・クリーシーを読んだ少女」「アイザック・アシモフを読んだ男たち」「読まなかった男」「ザレツキーの鎖」「うそつき」「プラット街イレギュラーズ」

「〜を読んだ」にあてはまる作家で作風がわかるほど読んだことがあるのはドイルとクリスティぐらいかなあ。これ読んでいる時ほど海外古典の素養がないのを悔やんだことはなかった。もっと知識があればおもしろみが味わえるはずなのに。

ベルギーの天才少年が出てくる「アガサ・クリスティーを読んだ少年」は村の生活描写も含めて「おお、クリスティっぽい」なんて思えるので、他の作家もそれぐらいうまく取り込んでいるんだと思います。どれも短い中に雰囲気もストーリーもうまく納めているのが信じられない。

「読んだ」シリーズ以外の作品も収録されていますが、どれも独特の読後感。登場人物に対するそこはかとないやさしさを感じてしまう。
ライバルの魔術師と刑事が知恵比べをする「ザレツキーの鎖」はルパンと銭形警部みたいで笑った。でもいい話だと思う。

ここには入っていないけれど、解説にある「ストラング先生」シリーズもぜひ読みたいです。教師だった体験が生かされているのかしらん。


【参考】別サイトにも前に書きました↓
短編小説たまてばこ:ディクスン・カーを読んだ男たち / 折原一
http://wonder-tea.com/tamatebako/archives/2005/01/13.html
作家別リスト>>| 海外ハ行 | - | - |
この記事へのリンク>> http://bookmark.wonder-tea.com/?eid=667237
昏き目の暗殺者/マーガレット・アトウッド(早川書房)
「侍女の物語」以来不思議と気になる作家なので、ブッカー賞・ハメット賞受賞作を読んでみた。ちょっとカズオ・イシグロみたいな感じ。

◆若くして死んだ妹の書いた小説は今もカリスマ的な人気がある。老女となった姉は人生を語りはじめ……

姉の語りと挿入される新聞記事の断片と妹の作品「昏き目の暗殺者」が交互に出てきて、最後にタペストリーのように系図ができあがるタイプの話。こういうの、メモをとりながら読むのが楽しい。

アトウッドは女性のこまごました生活に実感があって、分厚いのについつい続きが気になってページをめくってしまう。没落貴族のお嬢さんが新興成金に嫁入り、なんてベタな展開でも衣装の話が細かくて目に見えるようで楽しんだ。

隠されているのは読者には意外な結末でもなくて、登場人物のレベルで真相を「いつどうやって告げるのか」に興味が引きつけられる。そして悲劇が――解放になる。はやりの泣ける小説と違った意味で、心に残った。


急に国内物を読む気力がなくなってしまい、ここには書いていない本も含めて今は翻訳物ばかり読んでいる。マレルの作品集も死体の出てくるタイミングの予想がつくようになってしまった(^_^;)

前は翻訳の「物語との間に薄い膜で隔りがある感じ」が嫌だったんだけど、今はそれが心地よい。異国の知らない人の話が読みたい気分だ。
本を買ってはあるので、また国産に戻ることもあると思う。
作家別リスト>>| 海外ア行ア | - | - |
この記事へのリンク>> http://bookmark.wonder-tea.com/?eid=646563
廃墟ホテル/デイヴィッド・マレル(ランダムハウス講談社文庫)
全ての人物がうさんくさい、イっちゃってる人たちの冒険物語。次が気になってノンストップで読み終えてしまった。2006年このミス海外編18位。

◆大学教授と元教え子たちによる立ち入り禁止の建物を探検するグループ。今回は新聞記者が同行することになり……。

探検するのはマニアックな富豪が建てたマヤピラミッド風のホテル。主人公の記者が登場するところからすでに何か訳ありっぽいけど、怪しげなホテルや奇形の動物なんかの小道具に目くらましされてとりあえず忘れる。

最後は謎解きも一応あったのだが、わりと普通な動機に驚いた。こんな変な人たちばっかりでそんな理由かよ!ラストも感動するところ……なのか?いやいややっぱり妄執の人たちばかりでした。

マレルの作風は癖になりそうだ。どんどん死体が出てくる。おかまいなし、って感じで怖い(作者の狂気が)。というわけで次は「苦悩のオレンジ狂気のブルー」を読んでみたい。
作家別リスト>>| 海外マ行 | - | - |
この記事へのリンク>> http://bookmark.wonder-tea.com/?eid=641280
次の日付の5件 | 1/26 | 前の日付の5件>>
その他関連メモ

短編小説を紹介するコーナーもやってます。
ときどき本に関する雑記も書いています。

積読本リスト
近々読む予定の本
はてなブックマークのコレクション機能を利用しています。読み終わったら削除してこちらへ感想を記録。
WEB本の読書部はじめました
kichineのページ→http://review.webdokusho.com/users/806 誰でも参加できる読書コミュニティ 「WEB本の読書部」
ペットをクリックすると何かしゃべります。